田中裕子・岸部一徳主演の『いつか読書する日』(2005)は、青春をこじらせているすべてのひとに観て欲しい作品。長崎の美しく小さな街を舞台に描かれる純愛やひとびとの生き様が切なく哀しい。『独立少年合唱団』(2000)でベルリン国際映画祭新人監督賞を受賞した緒方明氏の深い観察眼が光る。挿入曲「Rainy Days and Mondays」は、どんなひとも重い荷物を抱えていることへの暗喩にもとれる。Carpentersではなく原曲のPaul Williams & Roger Nicholsであるのが渋い。読書で孤独を埋めるヒロインの姿は、マラマッドの一篇を思わせる。本好きなら、エンディングでアップになるヒロインの書庫に目を奪われるだろう。