第136回芥川賞受賞作・青山七恵『ひとり日和』を読了。奇しくもドラマ『東京タワー』と同じく東京・笹塚が舞台。遠い親戚の老婆と暮らす日々が主人公の女性の視点で描かれて。
リリー・フランキーの場合は事実笹塚に住んでいたわけだけど、都会なのに「昭和」が同居した詫び・寂びの街だから、文学なんでしょう。住んでる街が出てくるのはうれしいようでちょっと淋しい。作中、老婆が姪のつくった俳句
だいどころで ふっとうしている おゆのかなしさ
を気に入っていてふとつぶやくのだけど、これがこの作品全体のメッセージを象徴しているような気がしました。頭の中では小津安二郎『東京物語』のようなモノトーンの映像が流れてきましたが(笑)。
老いも若きもひとは恋して生きていく。哀しみがほろにがい、いい作品です。
“人生の本質的な問題は、次の点にある。今日が最初の日であるかのように、毎日、新しく生活を始めること-しかし、一切の過去、その一切の結果、忘れられぬ一切の古いもの、それらを必ずそこに集めて、前提とすること - ジンメル『日々の断想』”