「A Thousand Years of Good Prayers 千年の祈り 」(Yiyun Li/イーユン・リー著 篠森ゆりこ訳 新潮クレストブック)読了。文体、内容ともに秀逸。デビュー作でピューリッツアー賞を受賞したジュンパ・ラヒリがインドから渡米し、西洋の知識人としてグローバリズムを俯瞰したのに対し、イーユン・リーは中国(北京大学卒業後)から渡米。共産主義が疲弊し、日本、アメリカの物質主義が侵食する現代中国と古い家族主義を鋭く俯瞰している。F.オコナー国際短篇賞、PEN/ヘミングウェイ賞を受賞。
彼女の作品は中国人を描いてはいるが、国家システム、経済の中で翻弄される市井の人々の生き様という意味ではとても普遍的で、民族、親子、恋人、夫婦の間の性にまつわる業といったものも簡潔ながらとても深く描かれている。そのことがとても優れている点ではないかと。