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Walking Holden's Footsteps in New York
J. D. Salinger, Literary Recluse, Dies at 91 via NYT;The Catcher in the Rye (1951),Seymour: An Introduction (1959),Franny and Zooey (1961),Forever. *top:express.co.uk
柴田元幸氏の「(サリンジャーは)文学的には死んだと思っていた(毎日新聞)」はいささかショック。オザケンの意見を聞いてみたい。生きづらいひとびとにこそサリンジャーの文学は永遠なのだ。この日本ではライ麦畑の果ての崖にはキャッチャーが少ない。孤独死は年600人。自殺は年30,000超。ところで渚十吾さんの「Catcher in the rye」へのオマージュがすばらしい。 via microjournal
柴田先生翻訳のマラマッドが9末に出ていた。Coyote連載をまとめたものだが。(もともと氏は卒論がマラマッドだったはず)新潮文庫の短編集が絶版ゆえ、未読者には福音となるだろう。
リキュール漬けレモンスライスが入った「サクレ レモン」(105円・税込)の夏が過ぎていく。(最後にこのスライスを食むのが至福:貧)NHK「視点・論点」で詩人・蜂飼耳氏がバーナード・マラマッド(Bernard Malamud)の短篇「夏の読書(A Summer's Reading)」を取り上げていたが、実はこの作中にもレモン・アイスが出てくる。主人公の少年は、コドモの食べもの、とオトナびる。
◇過去の書評(マラマッド)
*Bernard Malamud/A New Life
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西田幾多郎 │ kitaro nishida
vol.4.4.5,6,8,9,10,11,12,..
一軒の書庫と化した実家で書籍の整理。孤軍奮闘。本が岩に思える。全身筋肉痛。ここは遺跡か。シュリーマンの気持ち。西田ひとつでも4巻ダブリ。why?地層の下から奇書。貴書。希書。あと何年あれば片付くのか。この全集は百万遍の木立に囲まれた家でゆっくり読みたい。
『定本久生十蘭全集』(全11巻・国書刊行会)@9,500円 計104,500円か。『久生十蘭全集』(全7巻・三一書房)の10,000円でガマンか?前者は後者の2倍の分量。しかもこのコメントを読んでしまうと「定本」に軍配。3ヶ月に1度の発刊とはいえ、もう4巻。ああ。あの絵を売って。。。
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What Men Live By by Leo Tolstoy
トルストイ「人はなんで生きるか」(岩波書店)。沁みる。特に表題作。信仰深かった祖母のお導きか。読了後、うれしいことがつづく。ありがたい。人様に感謝。政治家の方々に読んで欲しい。
“死ぬも生きるもみんな神さまのお心だ。「ニ老人」”
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「悩む力」姜尚中/集英社新書
江藤淳の「夏目漱石」も秀逸だった。でも、姜尚中の「夏目漱石」は、生き方が不器用な人間に共感の光を与えてくれる。名著。「普通の人」も読むべき一冊。
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guardian.co,uk
John Updike dies at 76.
yoko tawada,novelist
こちらはハンブルク在住の芥川賞作家・多和田葉子氏のリーディング・セッション。氏曰く、欧州では独逸語に堪能な方が英語が堪能なだけより何十倍も有益だという。東欧諸国の文学もほとんど独逸語で読めるからと。確かに阿蘭陀語はかなり独逸語に似ていた。彼女は独逸語専攻ではなく露文である。驚くべき言語野の可塑性。ところで独逸でよく見られるこの手のクリエイティブなイヴェントは、渚十吾氏のそれを髣髴させる。才能と英知がなければ成立しない。今月は29日(土)@三軒茶屋です。blogranking
土曜日は終日移動。まずステュアート・ダイベック氏の講演会に。初来日第1日目は柴田元幸氏の故郷、京浜工業地帯を歩いていたという話から、創作論、作家論、詩の朗読まで、詩人/作家と翻訳者が組んだきわめて高濃度・充実のメニュ。移民文学、国家、世の中のパラドックスについて考えた。うまく言えないが、思想的に彼と同じ側にいることに少し勇気づけられる。walk on the wildside.白水社刊の最新詩集「それ自身のインクで書かれた街」(原文では英語の韻があり‘イカスミの街’的なニュアンスを翻訳ではうまくまとめている)を読みたくなった。blogranking
白水社からとっておきの情報。作家・スチュアート・ダイベック氏が来日、講演会が行われるとのこと。またとない機会。他の日程(青山ブックセンターetc)はすべて満員御礼。残るは東大のみ。
◆スチュアート・ダイベック講演・朗読会(司会・通訳:柴田元幸)
・日時:08.10/25(sat)14:00~15:30
・会場:東大本郷 法文2号館1階3番大教室(地図 *入場無料・予約不要)
・お問い合わせ:東大文学部 現代文芸論研究室 TEL・Fax 03(5841)7955/(くわしくはこちら)
・東京大学文学部・大学院人文社会系研究科
◆Stuart Dybek in TOKYO(Navigation/Translator: Motoyuki Shibata)
・Date:08.10/25(sat)14:00~15:30
・Place:The University of Tokyo,Hongo Campus,Faculty of Law & Letters Bldg.2 room No.3(map)
前に紹介した通り、柴田氏の特別お気に入りの作家。熱い講演になりそう。blogranking
「見知らぬ場所」ジュンパ・ラヒリ/著 小川高義/訳 (新潮クレストブックス)を読み始める。電車の中で分厚い本は大儀だが、良い。序のナサニエル・ホーソンの引用が奥深い。命の川。旅する遺伝子。R.ドーキンスにつながっていく。環境が合わなければ人間も枯れてしまう。
人間というものは一箇所に長続きしないようにできている。いわばジャガイモと同じことでいつまでも連作していると土地が痩せて、育ちが悪くなるのである。私の子供たちは、生まれた場所が違っている。どんな運命で生きるやら、もし親の意向がかなうなら、どこか見知らぬ土地で根を張ってもらいたい。-ナサニエル・ホーソン「税関」(『緋文字』の序)
後輩の外国人社員からTerry Pratchett(テリー・プラチェット)「Discworld」を推薦された。OBE勲章の英国人作家らしいが、読んだことがない。コトバ使いのうまさに舌を巻くのだという。(シタガッテ翻訳デハ意味ガナイ)こちらは小津、アッバロ・キヤロスタミの映画、ジュンパ・ラヒリ、イーサン・ケイニンを推薦(ロシア系の彼女はチェーホフは当然、シェークスピアもお好きだった)。ささやかな脳内交流。blogranking
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© ephemera collection of chocochip
「地獄」アンリ・バルビュース著/秋谷澄夫訳(三和書店 S31)1908年。作者35歳の作品。純然たる仏蘭西文学。後のサルトル「嘔吐(1938)」ロカンタンに通ずる孤独感。寝れば極楽、起きれば地獄。所詮この世は阿修羅哉。トリコロールを意識した斬新な装丁。
「人間は自由という刑に処せられている」(byサルトル)
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Yoichi Nakagawa “A Moon Flower in Heaven”is his masterpiece.
This work is estimated as the same as Goethe's“The Sorrows of Young Werther”.
中河与一『天の夕顔』|(新潮文庫)。美しい。そして儚い。人生は泡沫の夢。ephemera。
-本当にあの人だけは愛しつづけました──〈わたくし〉が愛した女には、夫がいた。学生時代、京都の下宿で知り合ったときから、〈わたくし〉の心に人妻へのほのかな恋が芽生え、そして二十余年。二人は心と心の結び合いだけで、相手への純真な愛を貫いた。ストイックな恋愛を描き、ゲーテの『ウェルテル』に比較される浪漫主義文学の名作。英、仏、独、中国語など六カ国語に翻訳された。-
今頃になって夏目漱石「坊ちゃん」を読んだ。
漱石が「おれ」と書くのが新鮮。教師の内幕を描いたものには海外にもクッツェーやマラマッドがあるが、「坊ちゃん」では“男は外に七人の敵”のとおり日本組織の陰湿なところがよく表現されて流石。藤沢周平や山口瞳の「江分利満氏の~」に引き継がれるれっきとしたサラリーマン小説である。松山のことはちっともよく書いていない。最終章に「不浄の地」とまである。でも団子や天麩羅、温泉は愛していたのだから、道後温泉近隣の漱石飾りがなお切ない。
●おや。「坊ちゃん」全文が載っている。
*夏目漱石「坊ちゃん」
読み終えるのが名残り惜しい本というのがたまにある。「小さな町で」(Charles-Louis Philippeシャルル=ルイ・フィリップ /みすず書房)もそんな一冊である。いつぞや古書猫額洞で発掘したもの。作者の実家がある、パリ郊外の小さな村が舞台の短編集。山田稔氏の訳がまた秀逸。(他作品)惨めな人生とその中のささやかな悦びを描く点ではマラマッドにも近い。
作家であり画家であるシュティフター『森の小道・二人の姉妹』(山崎章甫訳/岩波文庫)は、なにか、ほのぼのと、こころあたたまる小品。彼の油絵も添えられて愉しめるが品切重版未定なのが残念。岩波の「きょうの名言」は、「社会はわれわれの必要から生じ、政府はわれわれの悪徳から生じた。(トーマス・ペイン『コモン・センス 他三編』(岩波文庫 白 106-1)だけれど、シュティフターが描くのは政府の手前の小さな社会。でもそこには早くも罵倒、差別、憎悪、資本主義の悪しき泡が芽生えそうでいながら、それらを超越する人間愛、自然愛を謳う。その点でゲーテに通底しているような。元フリッパーズギター、小沢健二が親戚の出版社から発表している最近の思想も、かなりシュティフター回帰といえましょう。could you vote for me?
「シカゴ育ち」Stuart Dybek(スチュアート・ダイベック)/〔著〕 柴田元幸/訳 (白水Uブックス 143 海外小説の誘惑)は短篇集ながら、いくつかをまとめて中篇として読むこともできる作品。帯には「今まで自分が訳したなかで最高の一冊」とありますが、Ethan Canin(イーサン・ケイニン)など米文学の青春小説が好きな方にお奨めです。P.S.スチュアート・ダイベック(正しくはディベック)は、ある機会にご一緒した作家・山崎ナオコーラさんもお気に入りとのことでした。could you vote for me?
“午後の灰色のまた金色の靄の中に見えるロンドンの建築の、豊かな、暗い、赤い色調ほど美しいものはない。”(P208)
先日手に入れた「もの食う話」(文春文庫)は文藝春秋が編した有名文士たちのたべものエッセイ。大岡昇平、内田百閒、永井荷風、澁澤龍彦、武田泰淳、武田百合子、吉行淳之介、森鴎外、森茉莉、向田邦子、吉田健一、永井龍男等々(順不同・敬称略)すごい顔ぶれ。忙しくてじっくり読めないが愉しめる。赤煉瓦別館の銀座「ニュー・キャッスル」も古川緑波氏が書いていた。おいしいもの、おいしい店はきりがないが、戦時中を考えたら、食べられるだけでも幸せなことか。
could you vote for me?
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Mieko Kawakami , a writer whom got Japanese literary award ,Akutagawa Prize #138.
Indescent? Juvenile? Unfortunately, It seems to me,she became an ad girl of Japanese publishing-world.
書庫大幅縮小中の書店にて。達筆で“言葉と体と感情のやんごとなき物語です。”とある。まさしく体現したポージングであり、レイアウト上計算された結果とも見える。さすがd文学。まだ読んでいないが。「見た目主義」が文壇にも?と嫉妬の呪詛が聴こえてきそうである。今、「利益なきものは去れ」という拝金主義が世界を覆っている。売れれば何でもアリか?オザケン(小沢健二/小澤征爾の甥)はいち早くその哀しみを父の経営する出版社で原稿にしたためた。同感である。片や、良書のため復刊も厭わない岩波書店の真摯な企業姿勢に心から拍手をおくりたい。blogranking
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Japanese famous literal award,Akutagawa Prize #138
昨日、芥川賞・直木賞が発表されましたね。なぜ毎回「新喜楽」で選ばれつづけるのか浅学菲才の小生にはよくわかりません。ただ某メガエージェンシーdの旧本社が目と鼻の先にあったり「d文学にまみれて」なる本が話題になったのも遠い記憶の飾り棚でございます。文学界をプロモーションするのもdの役割なれば。。。このごろの受賞は女子の2ショットが多いなあ、なんて羨みの吐息を漏らすこのごろ。「蜘蛛の糸」のカンダタのことを考えてたのは小学校の頃だったな。
フィールドワークでお世話になっているきむらけん氏のブログを拝見して驚いた。シンクロニシティというのだろうか。(宗教的ば背景が似ていることもあって)ちょうど遠藤周作「白い人・黄色い人」(新潮文庫)を読んでいたので。(さらに、.きむら氏が紹介している「白樺書院」も私にはおなじみで、何冊も海外文学の良書を漁ってきた。ちっぽけではあるが、ご縁があるのかもしれない)
「白い人」の主人公はフランス人の法学部生、「黄色い人」の主人公は日本人の医学部生。どちらも戦争(第2次世界大戦)と平和、基督教と信仰、人間の欲望、偽善、悪魔性、国家による犯罪等々色々なことを考えさせられる深い2篇。(ちなみに「白い人」は1955年芥川賞受賞)
日本では国家の成り立ちと宗教の関係は「ミカドの体制」に抵触するため、タブー視されている。人々は幕の内弁当を選ぶように神社と寺を使い分ける。けれども、私の知っているいくつかの外資系企業ではイスラム教の礼拝コーナーがあったり、商業よりキリストのことを最優先する、といってはばからない社員を自由に働かせている。彼らはまず宗教があり、職業は考えた結果という文化。日本の拝金主義はやがて国民の人権と心の破綻を広げていくのではないだろうか。。。
追記:
11日。グッドウィルの件では社民党・福島党首がグ本社前で糾弾のマイクをとっていた。しかしマクロ的に見ればグ社だけが悪いのではなく、行政の福祉システム自体が破綻しているのだ。
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illustration:christopher silas neal
a couple days ago,i've read Adalbert Stifter's“Bergkristall (Rock Crystal) ”.it was very beautiful.if you've not read it yet,i recommend.
先日の、シュティフター『水晶』、順調に読了。カーソン・マッカラーズの短篇に「木・石・雲」という名作がありますが、シュティフターの本作は「水晶」のほか「みかげ石」「石灰岩」「石乳」とすべて「石」の短篇集。煌く鉱石の標本のよう。表題作は雪深い山奥、クリスマスイブに遭難しかける幼い兄妹の顛末。どれもキリスト教に根ざし、スモール・サークルな社会と自然に生かされる人間が描かれて。いっしょにあそんだ亡き妹を思い出しました。
帰省。墓参。今までメガネかけてたっけ?と母。初めてボケを心配する。
瓦礫の山から父の遺稿に書かれていたシュティフターの「水晶」岩波とレクラムを採掘。
精度の高い、緻密な描写力。画家で自然科学者でもある作家ならでは。
帰り道。高層ビルの暗い谷間。ホームレスが背を丸め、
インスタントラーメンの白い湯気を立てていた。
以下遺稿
シュティフター「水晶」(岩波文庫)-「一冊の本」寄稿 昭和45年7月20日それは「人それぞれの生の暮れ方になってからももの悲しい思い出や、
心のふるえる思い出の中に、色とりどりに光る翼をはためかせながら、
わびしく虚ろな夜空を天かける」印象を与えるクリスマスの前夜の物語。(アルペンの麓らしい)南独のどこか、静寂と日光に満ちた、ベルトラムの
「ドイツ的形姿」さながらの山の峠を越えたミルスドルフの町。。。(以下省略)
生ハムとメロン、アボカドとわさび醤油ではないけれど、AとBの組み合わせが美味だったのが藤沢周平「天保悪党伝」(新潮文庫)と木下順二「本郷」 (講談社文芸文庫)でした。(もちろん杉浦日向子など読んでいればもっと楽しめるんでしょうけど)
前者の装丁(拡大可)だけでお察しいただける方もいらっしゃるでしょう。そうです。これは不忍池の蓮池。猫もいっしょです。後者「本郷」は文京区ができる前の東京市のころから、著者が愛をあふれさせて書いています。漱石の散歩コースなども紹介され、東京の散歩好きには愛読書候補といえそうです。
追記:木下氏が「ephemeral(エフェメラル/はかない)」という言葉を何回も繰り返され、思い入れ深く書いているのがとても共感できました。時がうつろい、モノが消え去る儚さの象徴としてのephemera(エフェメラ)については、萌えるものがあり、以前もエントリーをつくりましたが、microjournal鈴木博美の紙モノ好きにはかないません(笑)。
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Japanese bestseller novel “Norwegian Wood” in 1987
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Advertise of Italian pizza company for Canada in 2007
「ええと...あと...ポインセチア、よく見ますよね。この季節。
あれにも意味があるんです。レッドは十字架に掛けられたキリストの血の色、
グリーンはキリストの永遠の復活をあらわすんです。
それから...イヴにはミサがあります。どうぞいらしてください」
(07.12.15 フィールドワークで見学した下北沢の某教会にて/
説明してくださった女性の牧師様の言葉から)
*
ねえ、にほんでは
なぜクリスマスはお休みにならないの?
なぜあかとみどりがおおくなるの?
なぜサンタがピザをくばってるの?
あっちのきょうかいと、こっちのきょうかいはどうちがうの?
ねえねえねえ
*
Xmasが近づいています。
でも人間ができていないので、神を語る資格はありません。
ひとに迷惑かけどおしです。
宮本輝の小説のなかで「(自分は)犬猫以下や」とつぶやく青年がいますが
他人とは思えません。
先日いくつかの教会を尋ね歩いた余波がまだ遺っています。
日本では明治以前に懲らしめられつづけたキリスト教(↓といってもこれだけあるわけですが)が今では世界一気軽に利用されているような哀しみが。。。
*
すみません。長くなりました。
村上春樹「ノルウェイの森」の成功が装丁の色彩戦略(ノルウェイ=北欧=サンタ=Xmas=ロマンス感高揚のイメージ回路形成)の貢献にもあったことは有名ですが、その下の、カナダで展開されたイタリアン・ピザ・メーカーの広告はもっと恣意的です。
実は日本人の我々にはわかりにくいのですが、冒頭のポインセチアの解釈論は、ローマン・カトリックのもの。国旗にもなっているイタリアでは実に国民の9割が信者。カナダでは46%。ここでも宗教が商業主義に利用されていますが、もともとはひとつだったキリスト教が政治、文化、民族感情でわかれわかれの宗派になったことが哀しみです。(参考:キリスト教の歴史)
*
佐世保の猟銃殺人事件はなんだったのだろう。犯人が自殺場所に教会を選んだのは懺悔のつもりだったのか、友を殺しても救われたかったのか。。。
夏目漱石が『三四郎』で登場人物の女性に「ストレイ・シープ」とひとりごとを言わせ、先生に「日本は滅びるね」」とつぶやかせてもう何年になるんだろう。漱石は日本が近代化とともに「こころ」をなくしていくことを予言していたのかもしれません。
*
先日訪れたある教会では信者席の頭上にギリシャ語で「見よ迷える小羊たちよ」とありました。
宮本輝「蛍川・泥の河」「五千回の生死」を読む。自分は関西生まれではないけれど、大阪弁には日本のエレジイが息づいている。前者はどちらも「川」にまつわる名作で、国土の80%が山地のこの国では、川のある風景は誰もが身近に感じる原風景ではないでしょうか。きっと小さな頃の何かがよみがえると思います。ワタクシは子供の頃遊んだ近所の友達やそのお母さんの顔を思い出しました。後者は9つの短篇。ひとつひとつが美しさと哀しさに満ちています。
“俺、1日に五千回くらい、死にとうなったり、生きとうなったりするんや。兄貴も病院の医者も、それがお前の病気やて言いよるんやけど、俺はなんぼ考えても病気とは思われへん。みんなそうと違うんか?お前はどうや?”(「五千回の生死」より)
「A Thousand Years of Good Prayers 千年の祈り 」(Yiyun Li/イーユン・リー著 篠森ゆりこ訳 新潮クレストブック)読了。文体、内容ともに秀逸。デビュー作でピューリッツアー賞を受賞したジュンパ・ラヒリがインドから渡米し、西洋の知識人としてグローバリズムを俯瞰したのに対し、イーユン・リーは中国(北京大学卒業後)から渡米。共産主義が疲弊し、日本、アメリカの物質主義が侵食する現代中国と古い家族主義を鋭く俯瞰している。F.オコナー国際短篇賞、PEN/ヘミングウェイ賞を受賞。
彼女の作品は中国人を描いてはいるが、国家システム、経済の中で翻弄される市井の人々の生き様という意味ではとても普遍的で、民族、親子、恋人、夫婦の間の性にまつわる業といったものも簡潔ながらとても深く描かれている。そのことがとても優れている点ではないかと。
南青山「日月堂」にて以前から欲しかったフィリップ・ソレルス「公園」(岩崎力訳 新潮社)を購入。(画像はフランス版)ご店主と常連のお客様の立ち話で目の前の「根津美術館」がほぼ更地になり、巨大マンションが建てられつつあることを知る。ひっそりした界隈が好きだったのに。ご店主の落胆はワタクシの比ではないだろうが。
フィリップ・ソレルスは、(多くの作家がそうであるように)いつでも手帖を持ち歩いていて、カフェでも公園でも街なかでも書き留めるメモ魔だそう。著作に堀江敏幸氏訳「神秘のモーツァルト」などもあるようにクラシック好きでハイドン、モンデヴェルディ、シェーンベルク、シュトックハウゼンを聴いた後朝から執筆を開始するという。(岩崎力訳「作家の仕事部屋」中央公論社 インタヴューより)ちなみに本作品は1961年メディシス賞受賞。
「リバーズ・エッジ」「ヘルター・スケルター」でおなじみの岡崎京子さんの物語集-「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」(平凡社)は装丁、デザイン、文字組みの美しさも著者の世界を表現している。祖父江慎氏の仕事である。よしもとばなな氏の推薦文もよい。それにしても意識が戻ってよかった。清志郎と岡崎京子は早く元気になってほしい。(ckickで拡大できます)
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先日、下北沢・白樺書院で求めた「秋のホテル」(アニータ・ブルックナー著 小野寺健訳 昌文社・写真下)読了。内容は同じとはいえ写真上(講談社)の装丁で読みたかった。ブッカー賞受賞。人生に突然訪れる「階段のおどり場の季節」を書いている。(結婚式当日にドタキャンした女性が俗世と隔離されたホテルで他人と心を通わせる物語)。
つぎはドラブル「碾臼(ひきうす)」(河出書房新社)が控えている。
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料理エッセーの分野ではつとに有名な「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」(石井好子 暮らしの手帖社)も先日の古書市で購入。エッセイとして秀逸で、ちょっと読んだだけでもおなかがすいてくる。装丁・イラストレーションはいわずもがなの花森安治。活字の森に添えられた素朴なカットも素敵です。思わずタイトルのシャンソンが頭の中で反芻されます。。
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先日の古書市で最も掘り出し物だったのが14人の作家とのインタビュー*「作家の秘密」(新潮社:宮本陽吉 辻邦生 高松雄一訳 1964)。315円!ひっそりしまわれたコシマキには「ヘミングウェイが応じた最初で最後の本格的インタビュー」とある。なおうれしいのが14人それぞれの作家の生原稿も載っていて。ヘミングウェイの字が意外にかわいい↑。トルーマン・カポーティはトルーマン・キャポーテと記され、モラヴィア、サーバーも入っている。装丁も含め、素晴らしい一冊。
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The New York Times-Sunday Book Reviewから。Tessa Hadley『THE MASTER BEDROOM』は43歳の中年女性と17歳男子の物語。記事の冒頭にもあるように「卒業」のベンジャミンとロビンソン夫人の関係や、G.サヴァン「ぼくの美しい人だから」を思い浮かべがち。この小説では、それに母の介護 だとか「出口なし」な現代社会の構図を引き入れているようですが。。。
NYTで粋なのは冒頭1章を丸々読ませてくれるところ。(chapter1)素敵です。主人公は早くも心が彷徨ってます。映像が思い浮かぶような。。。まあ映画化も目標に入ってるんでしょう。
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先日お知らせした総合文芸同人誌(笑)「海馬」創刊準備号/0号ですが、ご好意により中野新橋・古書猫額洞様にて取り扱っていただけることになりました。(コストもあるので)恐縮ながら300円とさせていただきました。よくご質問いただく表紙は、英国南西部の天文台。海岸沿いにあるのが素敵です。よろしくお願いします。
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やっとできあがってきました。かねて宣言した総合文芸同人誌(笑)「海馬」創刊準備号/0号。同人鈴木博美の詩のほか、(皆さんはここで読めてしまいますが)ワタクシが個人的に好きな作家Ethan Canin(イーサン・ケイニン)デビュー・インタビュー(こちら)などなど。
しかし何と言ってもセルフ・パブリッシング。1部1部が手作りです。目下鋭意制作中!プリンターが爆発しないことを祈るのみ。文学好きの方々にご高覧いただきたく。置いてくださる書店様を募集しております。(これから地道なお願い&お伺いの旅がはじまりますが)。何卒よろしくお願いいたします。
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cLorrie Moore;Birds of America“estate”ha!ha!ha! 少しだけ拡大できます!
ローリー・ムーア「アメリカの鳥たち」(岩本正恵=訳 新潮社)[不動産]257ページ。 「(夫の)最後の浮気はもう何年前もまえのことだ。今さら何を気にするというのか(中略)笑うばかりだ。」の後2ページ弱リフレインされるハ!ハ!ハ!ハ!の嵐。主人公の女性、ルースの絶望がTVの砂嵐のような虚無感とともに伝わってくる。この後挿入される友人のセリフが切ない。「ねえ、人生は短いの。醜かったりもするわ。だからベストを尽くさなきゃ。楽だからって、だらっとした服ばかり着てちゃだめよ」
はーいと答えてがんばれるひとはいい。醜いオヤジは笑うしかないのだった。
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こちらChé Magazine短篇小説大賞のかわいいノベルティ。最近はバリー・ユアグローがケータイ小説を発表したりと、文学の世界にも変化してますけれども、日本には、まだまだ短編小説の正式な登竜門はありません。
電報を打つように書け、と言われる短篇ですが。「Sudden Fiction超短編小説70」(R・シャパード/編 J・トーマス/編 村上春樹/訳 小川高義/訳・文春文庫)は、ちょっとした空き時間でも愉しめる本。個人的にはトバイアス・ウルフの「問いかけ」が、超短篇ながらとても奥深く、気に入ってます。ほかにもダイベック、サリンジャー、チーヴァー、アップダイク、バクスター、ラングストン・ヒューズ、ナドナド。短篇の名手がきら星のごとく。
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©『THE PURPLE BALLOON 』Written and illustrated by Chris Raschka ,
The New York Times
The New York Timesの書評から“死”を題材にした絵本のご紹介。『むらさきのふうせん』というのは、風船の家族のうち、おじいちゃんがみどり→むらさきになって亡くなる、文字通り無くなってしまう“喪失”をこころでどう受け止めるかというテーマ。児童教育学的にも優れた絵本だそう。
日本でも出版されてるのかと探してみたら変なリストばかり。どうやら某「どうぶつの●」なるゲームのもののようで。日本はおとなもこどもも、どっぷりゲーム漬け。。。
みすず書房の新刊「サン=テグジュペリ デッサン集成」はなかなかの「高値」の花。王子さまを見ると先日のアレを思い出す。
第136回芥川賞受賞作・青山七恵『ひとり日和』を読了。奇しくもドラマ『東京タワー』と同じく東京・笹塚が舞台。遠い親戚の老婆と暮らす日々が主人公の女性の視点で描かれて。
リリー・フランキーの場合は事実笹塚に住んでいたわけだけど、都会なのに「昭和」が同居した詫び・寂びの街だから、文学なんでしょう。住んでる街が出てくるのはうれしいようでちょっと淋しい。作中、老婆が姪のつくった俳句
だいどころで ふっとうしている おゆのかなしさ
を気に入っていてふとつぶやくのだけど、これがこの作品全体のメッセージを象徴しているような気がしました。頭の中では小津安二郎『東京物語』のようなモノトーンの映像が流れてきましたが(笑)。
老いも若きもひとは恋して生きていく。哀しみがほろにがい、いい作品です。
“人生の本質的な問題は、次の点にある。今日が最初の日であるかのように、毎日、新しく生活を始めること-しかし、一切の過去、その一切の結果、忘れられぬ一切の古いもの、それらを必ずそこに集めて、前提とすること - ジンメル『日々の断想』”
先日。「甘えの構造」で有名な土居健郎の『漱石文学における「甘え」の研究』
(角川文庫・絶版 )を某古本屋にて入手しました。
なかなか読む機会がないかもですが、亡くなった江藤淳さんは読んだのかな?
漱石の恋について、興味深い記事がありました。
東京・御茶ノ水のニコライ堂前に「井上眼科」という老舗眼科がありまして。
先日の07.2.1日経新聞文化欄に、三代目で現理事長の井上治郎氏が原稿を寄せていました。
夏目漱石が帝国大学を出たての頃、この井上眼科に通っていたそう。
で、同じく通院していた美女に恋をしたそうですが、夢破れ、傷心から都落ちをし、
松山に行くことになったとか。失恋の癒しが「坊ちゃん」執筆だったのか?
人生、いろいろあるんですね。
Stuart Dybek S.ダイベック「シカゴ育ち」(白水社 uブックス)読了。
以前手帖にひかえていた大江健三郎氏のお薦めをやっと。
著者は東欧系ポーランド人。シカゴは生まれ故郷で
幼年期から青春期の“ほろにがいつぶつぶ”なかんじが秀逸です。
訳出した柴田元幸氏もオビでベタボメしてますが、
優れた短編作家に贈られるPEN/Malamud Awardを1995年に受賞しています。
(ちなみにMalamudは柴田氏が卒論にした伝説の作家。
第1回はjohn updikeジョン・アップダイク、2回目はSaul Bellowソール・ベロー、
19回目の2006年度はAdam Haslettアダム・ハスレットとTobias Wolff
トバイアス・ウルフというそうそうたる顔ぶれ)
「SUDDEN FICTION」なみの超短編「Brisket(牛のムネ肉・コマ肉/
私的訳は「パストラミ」)」こちら(english)で読めます。
◇「兵舎泥棒」トバイアス・ウルフ/迫光訳/彩流社
(「The Barracks Thief」Tobias Wolff)
数年ぶりの再読。作者はO.ヘンリー賞を何度も受賞した
短篇の名手。ベトナム戦争時代の米軍での寮生活が
描かれてます。主人公はドロボーなのだけれども、
兵隊が皆それぞれの哀しみを抱えている様がさらりと、
そしてじんわりと。。
以下訳者の迫光氏による「あとがき」から。
“何気無い日常を、醒めた眼差しと職人的なまでに
洗練された筆致で描き出す一方、それがどこか古風で
微視的なモラリティに裏打ちされているといった点などは、
両者(A.チェーホフとT.ウルフ)に共通した特筆だろう。”
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◇「沈みゆく女」ローラ・カシシュケ/古川 奈々子訳/角川書店
(「Suspicious River」Laura Kassischke)
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「はじめてお金のためにセックスしたのは9月だった。」
とつぶやくようにはじまる物語は、24歳の人妻が主人公。
1年の半分以上が白銀の世界に閉ざされるミシガン湖畔の
ある田舎町が舞台。ひもとかれていく壮絶な家族の秘密。。
女流詩人でもある著者が削ぎ落とした文体で紡ぐ哀切で
美しい世界は映画にもなったようですが。
岡崎京子「リバーズ・エッジ」にも通ずるものがあるような。
これは郊外文学といっていいでしょう。
群れからはぐれるとは、どういうことなのか?
はたして堕ちていくしかないのか?
渡りの準備で湖に休む白鳥たちを人間社会に
オーバーラップさせ、人間の業を深く鋭く描いてます。
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著者が「ラディゲがとても好きで「肉体の悪魔」を何度も
読み、本を書いた」と何かのインタビューで語っていたので
どれどれと手に取ったしだい。30分ほどで読了。
年上の女教師と年下の男子生徒の不倫といったら
それまでだけど、年月の推移を前提にした男女の心の
うつろいはまさしく「肉体の悪魔」を思わせます。
高橋源一郎氏が「あとがき」で誉めてました。
>(主人公の)「オレ」は半ば女性である。
>(著者の)「ナオコーラ」が半ば男性であるように。
>そしてそのことが救済であるとこの小説は語っている。
つまり作者も作中人物もジェンダーを越えていて
「女流文学」でも「男性文学」でもない立ち位置に
この作品の価値があるようナノダ。
映画化も決定とか。キャスティングが楽しみです。
東大本郷で打ち合わせ後、正門前の古本屋で司馬遼太郎「テムズ河紀行など」(NHK出版)を購入。
ロンドン、アムス、ライデンの写真がふんだんに出ている。
クロフネ以前の日本はオランダ経由で近代化したわけだけど、本書のテーマは「日本近代化のルート」で蘭学もそのひとつ。
オランダらしい逸話が紹介されていた-
スペインの侵略を退けた80年戦争の終わり、最後まで占領に苦しんだライデン市民が総結集してスペインを撃退したとき、王が「ごほうびに税金をタダにしようか?大学を建てようか?」と聞くと国民は「大学を建ててくれ」と。1575年のこと。
政治や教会に支配されないで、本当の自由を呼吸するには学問が必要だというお国柄。当時からヨーロッパで最も新しく、自由な民主主義国家だと言われる理由。
オランダの学生は本当によく勉強する。アムスの夜の底を一人で歩き回っていたときも、街の中心にあるアムステルダム大学や、アムステルダム自由大学から深夜、勉強道具を満載した自転車たちが次々と飛び出して来た。
日本の近代化がオランダ学、勝海舟なしには語れなかったことなどが氏の取材から改めて明らかになる好著。
バーナード・マラマッド「もうひとつの生活」(宮本陽吉訳/新潮社 絶版1970)読了。
マラマッド自身の下積み時代を主人公の孤独な大学講師レヴィンに投影しながら、思い通りにならない人生を送るひとに、やさしいまなざしが注がれる物語。
「A New Life」というタイトルも一見爽やかでいて、とても奥深い。ふだんの生活で爆発的にいいことは起きないし、自分を他人に理解してもらうことも難しい。つまり、ひとはどこかで「A New Life」への希望を持っていないと、命を絶つしかなくなってしまうから。。。
主人公も「もうひとつの生活」を求めて、長年暮らしたN.Y.を離れ、人生をやり直そうとする。でも、閉鎖的な地域性、職場の派閥抗争、愛してはならないひとたちからの誘惑に翻弄され、(マラマッドも案外モテたのかもしれない:笑)そのどん底の状況を克服しようとする姿が崇高で感動を覚える。
幸運に恵まれず、ネガティブな人生観を引きずりながらも、最終章で「生は愛です」と主人公が言い切るとき、彼は絶望の果てで「A New Life」の精神を手に入れることになる。個人的な感想にすぎないけど、マラマッドは特にヘミングウェイ「老人と海」の老漁師サンチャゴに象徴される、悲惨に挑む精神の強さ、気高さに思い入れを込めた気がする。(作中、性表現のあるヘミングウェイ短編「10人のインディアン」の教材拒否運動に毅然と立ち向かう主人公はまさにマラマッドの分身そのもの)
Bernhard Schlink「The Reader」(ベルンハルト・シュリンク「朗読者」松永美穂訳/新潮クレストブックス/2000)就寝前3時間で読了。「朗読」を通じた愛の遍歴。ラディゲ「肉体の悪魔」を思わせる悲劇。主人公の恋人が辿る壮大な運命に「文字を読み、書く」ことの尊さを想う名作。
「チューリップ熱」(Deborah Moggachデボラ・モガー/立石光子/白水社) は、フェルメール(Johannes Vermeer)の「窓辺で手紙を読む女」(1657年;ドレスデン国立絵画館蔵)からインスパイアされた長編。中世アムステルダムを舞台に、複数の男女の数奇な運命が。。。映画にもなったけど、130を超える運河の街に空想で遊びに行く方がおすすめ。
・reviews
・I lost my heart in... Amsterdam by David Winner/Guardian
バーナード・マラマッドの作品で特に好きなのが、短編集に収められている「最初の7年」。日本国内の翻訳版は絶版なので、あらすじを。
ある初老の男が靴屋を細々と営んでいる。年頃の娘が1人。店は主人でなく、無口ながら腕のいい弟子が支えている。彼は密かに娘に恋していて、彼女が14歳になった頃から自分が読んだ本に読書メモをつけ、娘に貸し続けている。そうして仕事の後の読書を愉しみに日々を重ねるストイックな青年を娘も好ましく思っている。
一方、父親は物質的に恵まれた結婚を願い、毎日店の前を通る弁護士志望の苦学生を勝手に候補と考え、デートのお膳立てまでしてしまう。
弟子は、それに怒り店を辞めてしまうが、鈍感な主人には、なぜ辞めたのかがわからない。義理でデートをした娘は、学生を「こころ」のない、物質主義の権化と切り捨て、その気のないことを父に告げる。
"Because he's nothing more than a materialist."
"What means this word?"
"He has no soul."
そして・・・
この先はMalamudを研究されている獨協大学外国語学部英語学科島田啓一教授の個人HPが詳細にわたっていたのですが、現在は一部をキャッシュで拝見できる(追記参照)のみ。タイトルの由来も、マラマッド本人が自身の節目に「7年」という意味合い(追記参照)があるようで。味わい深い作品です。マラマッドの娘が書いた「MY FATHER IS A BOOK」も読んでみたい。
interview© Ohio University (Real Playerによる音声;所要時間16'21")
Download Free RealPlayer
柴田元幸、村上春樹両氏の訳で紹介され、「エンペラー・オブ・ジ・エア」「あの夏ブルー・リバーで」「宮殿泥棒」「バースデイ・ストーリー(オムニバス中の1篇)」などで知られる医師兼業の作家Ethan Canin(イーサン・ケイニン)のデビュー当時のインタヴュー。個人的にこの作家が好きなので訳出しました。まだハーヴァード大医学部の学生で、初短編集『EMPEROR OF THE AIR』がホートン・ミフリン文学奨励賞を受賞した直後。デビュー作誕生のいきさつ、創作のメソッドやディテールについて語られており、興味のあるひとには、かなり貴重かと。
※本稿の知的所有権はOhio University、
翻訳上の知的所有権はchocochipに属します。
※翻訳上の責任は一切負いかねます。
※無断転用・転載は堅くお断りします。
※特に営利を目的とした出版関係の無断転用・盗用・転載を禁じます。
※大学英文学関係での引用等はお知らせください。
©chocochip 2005.2006
翻訳・解説はこちら↓
continue"Ethan Canin in 1988(interview by Don Swaim16'21") " »
「some girls」(Kristin McCloy)はNYが舞台の少しセクシュアルな領域の秀作。海外のレビューでも4つ星、5つ星だらけ。でも日本で翻訳される気配は全くナシ。この本を買った懐かしい書店の名前をネットで探していたら「閉店」の事実を知ってしまった。名前は「Compendium」。
Compendiumは、LONDON , CAMDENTOWNの小さな店で、レジ前に座るひげもじゃの店主の後ろにはたしか巨大なブローティガンのポスターがあったような気がする。同人誌やカルト本までセレクションの面白さは英国「Guardian」紙のTOP10(閉店なので10位)にも入るほどの名店だったのに。(記者も悲嘆にくれてます)
池袋西武の「ぽえむぱろうる」が閉店したりと、採算が合いにくい名店がなくなりやすい、厳しい状況。その中でオンラインストアが支えるのは、マイナーな作家への少数ニーズの市場(いわゆるロングテール現象)。名作「some girls」も、ネット上で堅実に売れている。でも、本好きならやっぱり、手にとって世界を追える本屋がいい。
ちなみに英国の作家Kate mosseがObserver紙のインタビューで最もセクシーな本としてあげているのもKristin McCloyのデビュー作「Velocity」。
「Velocity by Kristin McCloy, which came out in Britain in 1989. A novel about grief and sexual obsession during a stormy North Carolina heatwave, with a perfect balance between explicit description and restrained anticipation. Not to be read in public though ...」
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「マラマッド短編集」(バーナード・マラマッド, 加島 祥造/新潮社1971 絶版)
すべて秀逸。「最初の七年」「魔法の樽」ほか通底するヒューマニズムはドストエフスキーをも彷彿とさせる。生の哀しみをユダヤ系アメリカ人の視点から問う名作。