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藤沢周平(archive)

décembre 20, 2007

hongo/ephemera

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生ハムとメロン、アボカドとわさび醤油ではないけれど、AとBの組み合わせが美味だったのが藤沢周平「天保悪党伝」(新潮文庫)と木下順二「本郷」 (講談社文芸文庫)でした。(もちろん杉浦日向子など読んでいればもっと楽しめるんでしょうけど)

前者の装丁(拡大可)だけでお察しいただける方もいらっしゃるでしょう。そうです。これは不忍池の蓮池。猫もいっしょです。後者「本郷」は文京区ができる前の東京市のころから、著者が愛をあふれさせて書いています。漱石の散歩コースなども紹介され、東京の散歩好きには愛読書候補といえそうです。


追記:木下氏が「ephemeral(エフェメラル/はかない)」という言葉を何回も繰り返され、思い入れ深く書いているのがとても共感できました。時がうつろい、モノが消え去る儚さの象徴としてのephemera(エフェメラ)については、萌えるものがあり、以前もエントリーをつくりましたがmicrojournal鈴木博美の紙モノ好きにはかないません(笑)。


décembre 3, 2007

shuhei fujisawa

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藤沢周平「闇の穴」。淀川さんだったらこういうでしょう。まあ怖いですね。恐ろしいですね。題字からオドロオドロシイ。これはミステリーです。ホラーです。いろんな話入ってますね。でも全部怖いです。民話、Folklore?こんなのも書けるんですね。藤沢周平。さよなら、さよなら、さよなら。あ、それからこんな詳しい解説サイト(時代小説県歴史小説村 )あるんですね。最近知りました。

novembre 21, 2007

shuhei fujisawa

深夜、廊下を走り回る看護師さんたちの靴音が切なく思い出される今日この頃。傷の痛みも少しずつ癒えつつあります。ずいぶん寒くなりましたね。火鉢の傍で猫と戯れてみたい。などと思いながら病床で読んだ本の中から。「霜の朝」など江戸短篇集はいかがでしょう。さまざまなひとの哀しみを知り尽くしている藤沢周平のやさしいまなざしがオムニバス形式で味わえます。The Beatlesなら「white album」といったところか。長篇がお好きな方は「風の果て」(上・下)を。こちらは佐藤浩市先輩主演でドラマ化されてるようですが。あ。新潮の装丁、蓬田さんの構図の美しさも相変わらずです。

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juillet 12, 2007

shuhei fujisawa

「日暮れ竹河岸」 (文春文庫)は藤沢周平の生前最後の作品。超短篇集ながら、人の世の「平凡」というしあわせを感じさせてくれます。人生の底を見たという氏ならではの深い描写です。

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avril 6, 2007

shuhei fujisawa

最近読了した藤沢周平。

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又蔵の火』(文春文庫)
表題作の「火」というのはいわば人間の情念の「火」。
主人公がこころの中に燃やしていた「火」とは。。。。
直木賞受賞『暗殺の年輪』と同時期に書かれた5篇。
以下常盤新平氏の「解説」から。

“(『暗殺の年輪』『一茶』『海鳴り』だけでなく)
『又蔵の火』もまた吹聴したい作品集である。
又蔵や宇之吉や喜之助のような人間を書くのが小説ではないか、
これこそ小説の中の小説ではないかと、
まだ読んでいない人たちに言ってみたい
。”


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『一茶』(文春文庫)
作者がなぜ一茶を小説にしようと思ったのか。
そのプロセスが「解説」でも紹介されていますが
簡単に言うと。。

氏が肺の病気で闘病中、病院の句会に入り、
静岡の俳誌「海坂」に作品を送り、指導を受け、
評価されるも、熱が冷め遠ざかる。でもその機縁で
俳句の書物を読み一茶を知るうちに、善良な眼で
小動物を愛でる一般的な一茶像が音を立てて崩れていく。
不幸な生い立ち。義弟との遺産争い。荒淫。

「平凡かつ非凡なただのひと」人間小林一茶の
生から死までをリアルに再現しようと思ったのは、
うまくいかない人生に翻弄された、日陰のひとを
見たからなのでしょう。

春立や四十三年人の飯

名前は上がっても実は極貧だった一茶。
実はこれ日本のユダヤ文学だったんだなあ。
マラマッドの描く世界のように救いようがなく悲惨。

姓名判断的には「一茶」の大凶数10画が響いたのかも。。
(「小林一茶」は文筆人気運の21画なれど。。)
この作品を読むと、人生の短さとともに、
俳句というクリエイティブな世界に派閥だの
お師匠へのごますりだの、藤沢氏が句作を続けるのが
イヤになったわけも見て取れます。

ちなみに藤沢周平が色紙にサインとともに書く句は

軒を出て犬寒月に照らされる

秀逸です。

avril 2, 2007

shuhei fujisawa

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藤沢周平『ささやく河』(新潮文庫)読了。捕り物長編。

“(主人公)伊之助は江戸の町をたゆみなく歩く。多くの通りを歩き過ぎ、多くの橋を渡る。
江戸の空に季節を読んで、水面に屈託やあきらめ、それから希望を溶かす。この小説を
読むとき、江戸は水の町なのだとわかる。そして口には出さないが、伊之助が江戸の町並を
愛していることもにじむようにわかる。それは藤沢周平の江戸に対する執着であり、愛でもある。
これがやはりハードボイルドの最大の要件ではないだろうか。”
(関川夏央氏:「ささやく河」解説より引用)

「橋ものがたり」では、世界有数の水の大都市・江戸のロマンスを描いていたけれど、
この作品は水の都市のdetective story。R.チャンドラーに通じるものがあるような。。

別の作品(「又蔵の火」)の解説では常盤新平氏が「暗殺の年輪」「用心棒日月抄」
「一茶」「海鳴り」など藤沢文学にぞっこんになっていく様を語っていますが、
これはハマってしまった人間にしかわかりますまい。

ワタシも海外文学ばかり読む派でしたが「海鳴り」などは日本のドストエフスキー
「罪と罰」としてぜひおすすめします。

ところで藤沢周平の文体の品格も見事ですが、蓮田やすひろ氏の装丁(新潮文庫)も
素晴らしい。

「ささやく河」でいえば、若い女が橋の上から欄干に足をかけて水面を見つめている。
橋の下には燕が飛びかっていて、世間には生命の息吹があふれているのに、実は女は
燕を見ているのではなく、ある深い哀しみを湛えていて。。

物語のテーマの核心をシンボリックに、削ぎ落とされた表現で描いているのが流石。
以前、どこかの新聞で連載小説の挿絵を見たことがありましたが、
モノクロのシンプルな美が紙面に映えていました。

mars 21, 2007

shuhei fujisawa

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藤沢周平『橋ものがたり』『たそがれ清兵衛』読了。

前者は江戸の橋を主役にした男女の10篇。橋や地名が織り込まれて
「川の都」江戸がリアルに描かれています。川好きのひとにおすすめ。

後者は映画にもなりましたけど、働く武士の物語とでも言いましょうか。
組織の出世争い、目立たないヒラ武士が義のため奮闘する様など
山口瞳「江分利満氏の~」的現代にも通じる家族思いの男の哀歓が全8篇。

どちらも平凡なくらしのしあわせが謳われてます。

shuhei fujisawa 山桜
shuhei fujisawa #01


mars 18, 2007

cherry blossoms

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from wmchu @kyoto

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from tamjpn

CMも新曲も番組もどれもこれもどれもこれも。。
ベタだけど見たくなる。日本人の性なんでしょう。

藤沢周平『海坂藩大全 下』(文藝春秋)はこの季節の名作短篇ぞろい。
おすすめです。駄作がないと言われる全作品中でも粒よりではないでしょうか。
特に「山桜」「泣くな、けい」は時代を超えた感動がございましょう。
(最近「山桜」は田中麗奈主演で映画化の話もあるらしい。
個人的には小雪のイメージでしたが。。。)

mars 13, 2007

shuhei fujisawa

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怒涛のように藤沢周平を読了している。特に『蝉しぐれ』
『海鳴り』はドストエフスキー『罪と罰』に比す余韻。すばらしい。

藤沢作品の登場人物はいずれも藩命や陰謀、誤解や事件、事故、
許されぬ純愛など大きな運命に翻弄される日陰のひとびと。

若くして妻に先立たれる悲劇を心の奥底に宿している氏の、
人間へのやさしく、深い情感がどの作品からも香ってきます。

“そうしていがみ合ったり、笑ったりしながら生きて行くのが、 人間のしあわせというものではないだろうか。そういう平凡で、 さほどの面白味もない、時にはいらだたしいようなものが、 じつはしあわせというものの本当の中身なのではないだろうか。 とすれば家は、不完全ながらやはりしあわせの容れ物なのだ。 憎みもするが、和解もまたすばやくやってくる。 家の中の不しあわせというものは、高が知れている。” -『海鳴り』藤沢周平-